稲田堤の内科・外科・胃腸科・肛門科「医療法人徳真会 西村クリニック」HOME > 診療案内
主要症候からみた鑑別診断
主要症状から考える疾患・鑑別診断について次にまとめました。
診察において、常に鑑別診断を考えながら検査の方向を定めて診断を確定する必要があり、
症状・所見から疾患を考える必要があります。
咳
咳には、乾性咳(dry cough)と痰の絡んだ湿性咳(wet cough)に分けられ、これらは混在したり移行する事も多い。
病因を考えていくためには、先ずこれらの判別をする必要があり、次いで咳の発症の状況と経過を聞いていく。
≪乾性咳を起こす疾患≫
①かぜ症候群・咽頭喉頭炎
②咳喘息(咳発作が主として入眠時・起床時・寒暖差で誘発される。通常の咳止めは無効で、気管支拡張薬・ステロイド吸入薬が有効)
③(初期の)急性気管支炎・(初期の)肺炎
④肺結核・肺気腫・その他の疾患
⑤ACE阻害薬≪高血圧治療薬≫いよる副作用
⑥心疾患(迷走神経の心臓分枝の刺激で乾性咳が起こり、呼吸困難・心臓痛を伴う。但し、心不全による肺うっ血の場合は湿性咳嗽になる)
⑦その他の疾患
【胸膜性】 胸膜炎,自然気胸,胸膜腫瘍
【縦隔性】 胸腺腫,奇形腫,気管支嚢胞,甲状腺腺腫など
【肺門リンパ節性】 肺門リンパ節結核,サルコイドーシス,悪性リンパ腫
【横隔膜性】 横隔膜ヘルニア,横隔膜下膿瘍
【精神性】 ヒステリー,習慣性咳嗽
【血管性】 肺血栓塞栓症,大動脈瘤
【耳性】 外耳疾患(耳垢・湿疹により外耳の迷走神経が刺激されて起こる)
【肺性】 間質性肺炎,肺線維症,過敏性肺炎,全身性強皮症,腫瘍
【消化器疾患】逆流性食道炎(胃液に気管への刺激による咳、食道内圧上昇による迷走神経反射による咳)
回虫・鈎虫(仔虫が肺を通過するため)
≪湿性咳を起こす疾患≫
痰は主として気管・気管支・肺胞からの分泌物であるが、鼻腔・咽頭の分泌物,唾液なども混入する事が少なくない。
①副鼻腔気管支症候群(副鼻腔炎による後鼻漏により、気管支炎等の症状が起こる)
②急性・慢性気管支炎
③急性肺炎【細菌性肺炎・レジオネラ症・非定型肺炎(マイコプラズマ肺炎・クラミジア肺炎・オウム病)など】
④肺真菌症【肺カンジダ症・肺アスペルギルス症・肺クリプトコッカス症・肺放線菌症・肺トリコスポロン肺炎など】
⑤ウィルス性肺炎【インフルエンザ肺炎・アデノウィルス肺炎・サイトメガロウイルス肺炎など】
⑥Q熱(coxiella burnetiiの感染による人畜共通感染症【犬・猫・羊・ウサギ・鳥類)で、上気道炎・肺炎などで発熱・咳・頭痛・筋痛・全身倦怠感を起こす。
⑦嚥下性肺炎(誤嚥性肺炎)
⑧肺結核・非結核性抗酸菌症
⑨気管支拡張症
⑭肺吸虫症
⑮肺腫瘍(良性肺腫瘍・肺癌)
頭痛
全身倦怠感
長く続く発熱
浮腫
めまい
食欲不振
口腔異常